自分のブランドを持ちたいすべての人へ
~A`kenoが3年目をむかえました~
転職時代、起業時代と言われていますが、特にコロナ禍を経てそのスピードは加速しました。
もちろん、1つの場所で続けていくことの素晴らしさがある事が前提でお話したいのですが、その前提をもってしても、人生という長い時間の中で、
「本当に自分のしたいこと。」
「なりたい自分と目標。」
そんな想いがふつふつと湧いてくるのであれば、目を背けて生きていくのは勿体ない。
「たった一度の人生・・・。」
そんな言葉を使えば、それはその通りだと思うのですが、私はそれだけではなく仕事を生きていく為だけのツール。それだけにしてしまいたくない。という気持ちがあります。
家族の為。
生活の為。
綺麗ごとを並べても、優先順位としてはこの二つが働く理由の第一目的なことに変わりはありませんが、その中でも、自分が手を伸ばせば届く範囲の中で、自分の人生の目標を設定する。
それは自分を今以上に好きになるきっかけになりますし、「生きがい」をもう一度見つけられるきっかけになります。
もちろん、生活を保ちながら夢を追いかける日々は、想像以上に精神力とエネルギーが必要なんですけど・・・。
現在オープンして3年目
準備期間から含めると、5年という月日が経ちました。
まだまだ成長途中のブランドではありますが、この起業時代にブランドを持ちたいと考えている方の一つの参考になればと思います。
スタートはブランド名から

作りたい商品は革小物で、シンプルさの中にも目を引くデザインのアイテム。そして、ユニセックスなデザインのブランド。
そんなざっくりしたイメージで細かなデザイン案などはこれから。という初期段階でしたが、私たちはこのブランドを大きくしていくと決めていましたので、まずはブランド名の商標登録を行う事から取り掛かりました。
そもそも商標とは
商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)と特許庁に記載があります。
つまり、私たちのブランドの商品やロゴが、私たちのものであるという証明となるものです。
メリットは
必ずしも自社ブランドの立ち上げに商標登録が必要というわけではありません。
ただ、ブランドを大きくしたい私たちは、自社のオリジナル商品を守る手段として、登録したうえで活動する判断をしました。
大きく成長した後での登録も考えましたが、その時に登録できなかった場合、ブランド名の変更を余儀なくされますし、私たちをブランド名を含めて認知してくださっているお客様に、一度忘れられるのでは・・・。という心配もありました。
その他にも登録しなかった場合の懸念点としては、オリジナルの商品でも他社アイテムと類似している場合、万が一訴えられる可能性があるということです。
その際、他社が商標登録を行っている場合、私たちの登録していないブランドは活動が出来なくなる可能性が出てきてしまうのです。
考えすぎかもしれませんが、弁理士さんにいろいろな事案を話していただき、総合的に登録した上で先に進むが吉。という結論に至りました。
※皆さんがご存じである有名なものでご紹介すると、高級ブランドのエルメスの商品の一つである「バーキン」はバーキンというアイテム自体が商標登録をされています。つまり、このエルメスのバーキンのデザインを模して、製作、販売を行うと、訴えられてしまいます。このように、自社デザインを商標登録することで、守る手段にもなるのです。
出願の流れ
出願には一定の金額が発生しますので、私たちは時間と金額を考慮し、担当の弁理士さんにお願いをしましたが、簡単な流れは以下の通りです。
① まず商標登録の出願を特許庁に出します。金額は¥34000と合わせて¥8600を出願する区分数かかります。
➁ その後「方式審査」「実体審査」を経て、審査を通過したもののみが商標登録となります。
※この時に登録できなかった理由があれば「拒絶理由通知」として出願者に戻ってきますので、弁解したい理由があれば「意見書・補正書」を再度提出することができます。
③ 「登録査定」を通過したもののみが登録となりますが、その際の登録料が¥32900発生します。(10年分一括納付)
④ 最後に「設定登録」終えた段階で、ようやく「商標権」が発生します。
注意点
商標権を得ている商品、社名、マークは信じられない数ありますので、類似の商標がないか予め検索しておくことが大切です。登録する前の出願の時点でお金が発生しますし、審査にかかる日にちも短くありません。
そして何より、時間を掛けて考えた商標が登録できないとなると、がっかりしてしまうのです。考えている間に愛着が湧いてしまいますしね。
登録をお考えの方は、「J-PlatPat」が特許庁のHP内にありますので、検索をされてから取り掛かることをおすすめします。
コロナ禍で登録した私たち
2026年現在の状況は、私たちが出願したころとは異なると思いますので、参考にはならないかもしれませんが、一つのエピソードとして書かせていただきます。
コロナ禍で登録を試みた私たちは、特許庁の人員問題と、転職・起業ラッシュという、ダブルパンチのおかげでかなりの時間がかかる状況とでした。
なんと一度の出願にかかった期間は半年以上。
そして、一番初めに考えたブランド名の類似するものが多く拒絶されてしまったのです。
類似名が存在することは予め調べて分かっていたことですが、「革製品」という製造業での登録は見当たらなかった為、弁理士さんと相談の末チャレンジしてみよう。という話でまとまった結果でした。
それでも拒絶されてしまい、「意見書」「補正書」を提出して粘るか・・・。と悩んだ結果、その先にかかる時間を考慮すると、やはり類似しないブランド名を考え直す方が良い。という判断になりました。
再度夫婦でブランドのコンセプトと意味を練り直し、今の「A`keno」で出願。
そこからさらに半年以上がかかり、2023年春にやっと商標権を取得することができました。
4泊5日の資材探しの旅

その後夫は会社員を辞め、ブランドオープンに向けて歩き始めます。
まずは作りたいデザインと合う資材を探すことから始めました。
福岡に住む私たちは、身近なところだけで使いたい資材を探すことが難しかったため、西日本に限定し資材探しの旅に出ます。
福岡を出発して、まずは兵庫で1泊。
姫路レザーなどが集まる、革のイベントが開催されているということで神戸をおとずれました。この場では私たちの求める革に出会えませんでしたが、革問屋さんにも少しお話を伺い、複数のパンフレット資料をかき集めました。
2泊目は大阪へ
そして、道具や備品を求めて大阪市浪速区にある「Leather craft Phoenix」を訪れました。
こちらではイタリアンレザーを中心に革を見せていただき、私たちが持ち得ていない道具の知識などを細かくお話してくださいました。
本やネットで知識を漁るだけ漁て、「欲しい道具はこれ!」と決めて訪れましたが、やはり実際に使用している方のお話を聞くと、「そんな簡単な話ではないのだな。」と思い知らされました。
経験も知識も浅い私たちに、真摯にお話くださったお店のスタッフさんには感謝しております。
革製品を扱う者としての経験値が少しだけついてきた今だからこそ、あの時の親切さがよりわかる気がするのです。
そして、このお店で出会ったイタリア製の「プリムホック」は、今現在A`kenoの部品として使用しております。
その夜、同じく物づくりを生業にしている友人と合流して食事をし、試作品などを見てもらいながら意見をもらいました。
準備のいろはももちろん教えていただきましたが、どちらかというと励ましのお言葉をたくさんいただいて、私たち夫婦の不安な気持ちを和らげてくれました。
私たちの様に物づくりを生業にせずとも、独立して起業しようと試みている方のほとんどは、心細い不安な気持ちを抱えている方ばかりではないでしょうか。
だって、背中を預け合った夫婦でも心細さはありましたから。
この日親切にしてくださったお店の方や、友人との再会で得ることができた情報もありますが、それだけではなく横の繋がりや、夢を語りあえる環境って同じくらい大切なのだと知ることが出来ました。
今現在、同じ状況にいる方がいましたら、是非自分から足を動かしていろいろな場に出向いて意見を聞きながら、臆せずに自分の状況を話してみると開ける世界がありますのでおすすめしたいです。
3日目は京都へ
京都へは素敵な糸を探しに訪れました。
革製品の糸は、基本的に蝋引きした状態で使用しますが、A`kenoらしさをこの糸で出す事は出来ないだろうか。と考えたのです。
事前に下調べしておいた老舗の糸問屋さんを訪れましたが、残念ながらこの時購入した複数の糸は、革製品には使用しない方が良いという判断となりました。
やはり餅は餅屋なのです。
刺繍用の糸は刺繍糸。ミシン用の糸はミシン糸。革製品には専用の糸。
この時はまだ、私たちも理想と知識のバランスが悪かったので、試してみなければ分かりませんでした。
でもそれでいいと思っています。
基本的な知識が中心に据えてあることは前提として大切ではありますが、イメージを形にしてみようとするフットワークの軽さは必要です。何事も挑戦してみないと分かりませんし、その時挑戦してみたからこそ出会える答えがあると思います。
そしてこの旅の道中、福岡では出会えないショップもたくさん目星をつけ、革小物からアパレル製品全般の情報収集も各地で行いました。
ブランドコンセプトと販売商品

私たちは福岡に戻ってきて、まず最初に販売するアイテムの製作スケジュールを組みました。
考えたブランドコンセプトに立ち返りながら、A`kenoらしさが伝わるデザインを二人で模索していきます。
そしてオープンまでの期間で製作スケジュールを練り、黙々と準備をすすめていきました
この時大切にしていたことが一つあります。それは、二人が納得いかない妥協した商品は作らないということ。
時間に追われている状態の私たちでしたが、準備期間であるこの時間のトライアンドエラーは納得いくまで繰り返しました。
娘も1歳を迎え、子守も分担しながらでしたので、とにかく削る時間は睡眠時間です。3時間以下の睡眠の中で、自分の体力とにらめっこする日々がスタートしました。
それでも、妥協した商品をお客様がお手に取ってくれることなんてありません。
私は時にどこかで「こんなものかな。」と考えてしまうこともありましたが、夫がその度に窘めてくれました。
会議の度にぶつかる日もありましたが、それでも諦めずにしっかりと商品と向き合って製作してきたと思います。
そこそこの趣味程度であれば、ここまでプライドを持って製作する必要はありません。でも、私たちはお金を支払って購入してくださるお客様に、自信をもって商品を送りだせる物づくりの仕事をしていきたいと考えております。
それならば、妥協してはいけない。甘えてはいけない。その一定ラインがあると思うのです。
そのラインをどこに設定するのかは、作っていく自分次第ですが、目指したいところがあるのであれば、目標は下げてはいけません。
そして現在三周年目
ブランド立ち上げ準備から、三年目となる現在までブランドへの想いや、向き合うパワーの出力は落とさず駆け抜けてこられていると思います。
少しずつ・・・本当に少しずつではありますが、ブランドも、商品も、そして製作する私たちも成長を積み重ねてこられている。
まだまだ夢半ばではありますが、着実に歩んできたこの五年近くの月日と同じ想いで、これからも積み重ねていくこと。その先にきっと見たい景色があると信じて頑張ります。
これから独立したい方、物づくりを生業にしたい方の参考になれば嬉しいです。

