A`kenoの象徴「ワイヤーステッチ」が生まれるまで

ブランドの象徴を作っていく
私たち夫婦はブランドを立ち上げる上で「A`kenoはどんなブランドにしていきたいのか、A`kenoというブランドをどう表現するのか」ということを散々話しあってきました。
「何を一番に魅せたいのか。」
このテーマを持っているのか、いないのかでブランドの価値が変わってくると思っています。
素材で魅せる
レザーブランドには素材を主役とする傾向があります。それは、革自体に同じ個体が無く、希少性のある素材だからとも言えるでしょう。
もちろんA´kenoが使用する栃木レザーも素晴らしい革です。しかし私たちは、「この革でなければA´kenoではない」ということではないと感じていました。
そして、私たちは革小物の敷居を高く感じて欲しくはありませんので、革で魅せる高級ブランドの様に、革がお好きな方が集まるブランドではなく、もっと身近に使える商品をお作りしたいと考えています。
ロゴで魅せる
他の見せ方で言うと、革へ直接刻印をし、ブランド名やシンボルマークを認知してもらう方法も良く見かけます。
勿論A`kenoにもロゴとシンボルはありますが、あまり表立たないサイズで刻印を行っております。
理由はやはり、ロゴが無くても「A`kenoだ」と思ってもらえるアイテム製作をしていきたいからです。
名前を見せずとも認知してもらえるブランドに道のりは、おそらく私たちが今現在想像しているよりも険しいのかもしれません。
それでも、アパレル好きな夫婦で作るブランドだからこそ、その夢を一つの「個性」としていきたいと考えています。
A`kenoはディテールで魅せる
私たち夫婦が目指したのは、ブランド名を見なくても分かるブランドでした。
シルエットなのか、デザインの一部なのか。その一部分を見るだけて「あそこのブランドね。」と気付いてもらえたら。
これは私たち夫婦の目標でもあります。
オープン当初よりこの方向性で進んでいますが、その中でも意見が割れたり、立ち止まったりと迷いながらの3年間を過ごしてきました。
そして恐らくこれからも立ち止まったり迷いながら、試行錯誤しながらの日々となるでしょう。
しかし、この目標の先に夢見るのは、
「もしかしてあのブランドの商品っぽいな?・・・・あっやっぱり!」
「あそこのブランドだよね。」
とたくさんのお客様の話題になるブランドに成長すること。
案外、この簡単ではない道のりが、私たちのブランドを形成していくのかなと漠然と思っています。
ワイヤーステッチに辿り着くまで
そもそもオープン当初は別のデザインで統一感を出そうとしていました。
その一つはステッチの最後にA`kenoの「A」を刺繍するというもの。

手縫いだったこともあり、最後に「A」の文字に見える位置で穴を空けて刺繍を施す。
「Long walletシリーズ」と、「mituoriシリーズ」、そして「巾着バッグ」はこのデザインで進んできました。
ですが、三つのアイテムを製作した段階で感じたことは「A´kenoらしさを決定付けるには力が足りない」と言うことでした。
レザーブランドで刺繍はありきたいな感じもするし、何より「A」の文字はブランドのイニシャルです。それはデザインというよりも、名前を言っているに等しい感覚もありました。
そしてもう一つが、垂直ではなく少しだけ角度の付いたディテールを一部に取り入れると言うことです。

角の丸みを出すと、柔らか印象になってしまいますが、それは私たち夫婦のイメージとは違います。整っていて洗練された印象がどうして欲しい。
そこで、シャープ過ぎない斜めのディテールでこの印象が出せないかと試行錯誤してきました。
ですがここでもやはり感じるのは同じく、それだけではブランドの象徴と呼べるほどの存在感にはなりませんでした。
そしてそれに加え、このディティールありきでデザインを考えていこうとすると、必ず製作途中で行き詰るのです。
どんなアイテムにも自然に存在し、それでいて一目でA´kenoと分かるもの。
そんな答えを探し続ける中で、ある日ひとつのアイデアが生まれます。
それが、後にA´kenoの象徴となる「ワイヤーステッチ」でした。
そして、その答えとなるワイヤーステッチが完成するまでには、約半年の時間がかかることになります。
次回は、その半年間の試行錯誤についてお話しします。
