本革の巾着バッグができるまで|ユニセックスブランドA´kenoのものづくり

もともとA´kenoでは、布とのツートーンで巾着バッグを販売しておりました。
コロンとしたフォルムの、巾着らしい巾着バッグです。
しかし今回は2年越しに巾着バッグをリニューアルすることに。
デザインを見直して、今回はシュリンクレザーをベースに、側面には黒の無地レザーを組み合わせました。
さらに、巾着らしい丸みのあるフォルムから、縦長でスマートなシルエットへ。
カジュアルにも、少しきれいめな装いにも合わせやすい巾着バッグを目指しての変更です。
そんな完成までの製作のお話をしていきたいと思います。
素材から見直し
まずは、使用する素材の変更です。
シュリンク柄の革を購入した時に「次はシュリンクで巾着を。」と話し合っていました。
少し柔らかみがあり、袋状のバッグにピッタリのレザーです。
以前は絞りやすさも重視したかったので、布とのツートーンにしておりましたが、今回は総レザーへ思い切って変更しました。
デザインイメージを固める
A´kenoは夫婦で作る、ユニセックスなレザーブランドです。
ですのでいつも通り、最初から性別を決めずにデザインを絞っていきます。
ただ、バッグは財布やマルチケースとは違い、ファッションアイテムとなるもの。
ユニセックスを掲げるA´kenoとして、より性別を問わず自然に持てるデザインを意識しました。
そこでまずは、バッグの機能面に目を向けて、サイズから見直していきます。
・マチは広い方がいい。
・色は合わせやすい黒で。
・大きめのスマートフォンも入る縦の長さを。
この辺を主軸に置き、ざっくりとパターンに起こしていきます。
その後、数種類のパターンを並べて会議の開始です。
この段階で、作成手順を何となく話し合い、工程を加味しながらイメージ通りのシルエットになるパターンを絞っていきます。
革の仕立ては、縫い線や革の厚みの少しの違いでも、想像していたサイズやシルエットに仕上がらないことがあります。
・カットするのかしないのか。
・裏返すのか。
・裏地を付けるのか。
・どれくらい曲げるのか。
ここを加味しなければ思い通りの形にはならないのです。
また、今回もシュリンクレザーのみで仕上げず、側面には黒の無地のレザーで縦線を入れ、よりシャープな印象に仕上げることにしました。
黒色の無地のレザーを側面の立てのラインに施し、さり気なくも縦のシルエットを強調できないかと考えたのです。
一見メインのシュリンクレザーとも同色なので、大きな違いには見えません。しかしこのラインがあるのと、ないのとでは印象が異なります。
全てシュリンクレザーのみで仕上げた方は、シュリンクの主張が強くのっぺりととした印象に見えます。それでも悪くはないのですが、スマートさに欠けてしまいます。
ここに無地のレザーでアウトラインを施すと、締まった印象に変わるのです。
では、この無地のアウトラインはどれくらい幅入れるのか。
このデザインも6つの別パターンを用意し、巾着バックに当てがいながらそれぞれ見比べていきました。
そして、最終的に絞りのウエーブを施した後でも正面方しっかりとラインが見える、大きな幅のアウトラインを縫い合わせることに決めたのです。
まずは第一試作を
最初は細かなパーツは抜きにして、シルエットに関わる大まかなパーツのみを切り出し、まずはシルエットの手直しをしていきました。
お互いに持ってみて、「見た目の大きさや全体のバランスは?」とか、「ユニセックスとして受け入れられるシルエットは?」とか、客観的に意見を出し合います。
その結果、最初の施策は少し横幅が大きすぎてスマートな印象には見えないという結論にいたりました。
女性はその丸みのあるシルエットでも似合う気もしましたが、ユニセックスとはいいがたいかも・・・。
そこで、思い切って横幅とマチのサイズを合わせ、縦長に変更してみることに。
変更後の試作を再びお互いに持ってみて、同時に「これだな。」と決定し、今回の縦長の巾着バッグになりました。
内装でカジュアル感をなくす

「カジュアル」だと感じる要素は人それぞれですが、私たち夫婦は「革のトコ面が見えないこと」も、その一つだと考えています。
※トコ面とは革の裏側で、未処理の場合は繊維の毛羽立ちがあります。
A´kenoでは、敢えてそこに裏地を貼り合わせたりして、見えないように仕上げることによって、少しフォーマルに近づけられると考えて製作しております。
どちらが正解とかではなく、好みの問題なのですが、私たち夫婦はこの処理を一つの基準に設けています。
今回はバッグですので、中袋を布地で付けることによって、よりキレイ目な印象に仕上げました。
勿論中袋なので、持ち歩く時に見えるものではないのですが・・・。
細部までこだわって

シルエット、中袋、素材。
これらが決まったこの段階で、細かな部分を決めていきます。
・底の部分には芯地をいれるのか。※どの硬さの芯地か。
・絞った時に出来るウエーブはいくつ入れるのか。
・ウエーブの型はどの程度付けるのか。
・ステッチの幅は何ミリか。
・紐の太さは何ミリか、また長さはどの程度か。
・見えるコバの処理はどうするのか。
一つひとつ。
夫婦で話し合い、ファッション好きな私たちが掲げる「ユニセックス」というテーマに向けて進めていきました。
そして完成へ
今回の製作もデザインアップから試作、そして微調整も含めておよそ四ヵ月かかりました。
作成しては、「なんか違う。」と悩んで、またやり直しては「こんなつもりでは・・・。」の繰り返しです。
試行錯誤を繰り返しますが、少しのサイズ違いで印象が変わっていく。私たち夫婦のブランドらしさと、お客様のお気持ちを想像して試行錯誤の時間をオープン当初よりも楽しめるようになった気がします。
「Straight Drawstring」製作ストーリーを最後まで読んでいただきありがとうございました。
たまに、完成までの道のりをご相談いただくことがあります。
ご自分でレザークラフトをされる方だったり、ブランドを運営する上で、「どう進めていけばいいのか。」だったり。
私たち夫婦の進め方が正解でもなければ、近道というわけではありません。
でも、無駄だと思える作業でも、A´kenoにとっては通るべきストーリーなのです。
では、次回は「Straight Drawstring」のサイズや収納についてお話ししたいと思います。

